本人の希望で3回に分けた鼻の手術でアイドルのような可愛らしさに
術後の様子から感じたこと
わたしがイメージしていたように、娘さんは鼻筋が綺麗になりずっと愛らしくなりました。
しかし、娘さんは今でも「自分はブスだ!」と卑下します。
なぜでしょうか?
私は、この娘さんの状態をいわゆる「整形依存症」になりかけているのではないかと感じました。
整形依存症とは?
「依存症」と言えばみなさんがすぐ思いつくものに「アルコール依存症」があるでしょうか?
これはお酒を飲む量やタイミングを自分でコントロールできなくなること。
「整形依存症」も同じで美容整形を何度も何度も繰り返してしまう状態です。
自分では「終わり」が決められなくなっているわけです。
周りからは十分綺麗になったと思う仕上がりであっても、本人は「もっと綺麗になりたい」「もっと整形が必要だ」と繰り返し整形を行います。
整形しすぎて最終的には不自然になってしまう可能性もありますし、何度も整形していることがバレバレになってしまいます。
醜形恐怖症
実際には病名として「整形依存症」というものがあるわけではありません。
しいて言うならば整形依存の根底には「醜形恐怖症(しゅうけい きょうふしょう)」という心の病気があるといわれています。
「醜形恐怖症」というのは、周りは何も感じていないのに自分の外見や容姿に極度にとらわれ、自らを醜いと思い込み日常生活に支障をきたす状態です。
娘さんとのカウンセリング
整形依存になりかけている娘さんのために、私は娘さんと2人でカウンセリングをさせてもらうことにしました。
そんな彼女が「整形依存症」になりかけているのであれば、何とかここで食い止めたい、そう考えました。
・あなたはまだ若いこと ・これ以上の美容整形は必要ないこと ・ノーリスクの手術はないこと ・必要のない手術をすることは良くないこと ・将来エイジングケアが必要になるかもしれないこと ・その時でも遅くないこと ・今のあなたが一番素敵だということ |
そして私は娘さんにこのことを話しました。
将来必要となるケア
過去に美容整形手術をしたことがなくても40代以降になると、今度は皮膚や筋肉が衰え始めます。
表情も変わり、エイジングケアのために美容整形を利用する人も多くなります。
未成年である彼女は人生の中で一番素敵な時期にあることを理解していただきました。
加齢による変化
若い時手術を行ったからと言って、生涯修正不要とは限りません。
年を重ねることで顔の印象が変わることはよくあることです。
皮膚や筋肉の衰えにより表情は変わります。
若い時に手術を受けて美しくなったとしても、その美しい状態が永遠に続くことはほとんどありません。
それは、皮膚を含む細胞の老化現象ですので、毎日のお手入れや定期的な美容施術などにより少しでも老化のスピードを遅くすることが大切なのです。
若いころにいくつかの方法で「美」を保とうとしても、年齢を重ねるごとに何かしらの変化は現れてくるでしょう。
若い人には手術をしすぎることのないよう、助言していくことも美容外科医の役割だと私は考えています。
その後
お母さんの話では、娘さんの気持ちも前向きになったということでとても喜んでおられました。
「手術したい人に手術をする」だけが美容外科医の役割ではありません。
その人の将来のため、必要最低限の手術に留めることも必要だと思います。
あなたの今後を考えた手術法を提供してくれる医師と出会えると良いですね。
まとめ
前回と今回の2回に分けて、まだ若い女性の症例をご紹介しました。
世の中にはさまざまなコンプレックスを抱いている若い女性も多いことでしょう。
美容整形を受ければ美しくなれるのではないか、と考えている人もいるでしょう。
しかし、1度立ち止まって考えてみてください。
みなさんがコンプレックスだと思っている部分は、本当に手術が必要な部分ですか?
自分が思っているほど周りは気にしていない、ということはありませんか?
また、自分が抱いているコンプレックス部分ではなくそのほかの部分を少し変えただけで一段と美しくなるということも実際にあります。
自分を客観的に見ることが難しければ、美の専門家である美容外科医の診断結果を聞いてからどのような手術を受けるのかを検討してみてはいかがでしょうか?