斜鼻の種類
鼻根部から鼻先にかけて曲がって見える「斜鼻(しゃび)」には、大きく分けて2つの種類があります。
鼻骨が原因である「骨性斜鼻」、軟骨が原因である「軟骨性斜鼻」についてそれぞれ詳しく解説していきます。
ご自身の鼻にゆがみがある方、斜鼻に悩んでいる方は、特徴を比較してみてください。
骨性斜鼻
鼻を構成する組織には骨、軟骨、筋肉、脂肪、皮膚などさまざまなものがあります。
その中で、骨が原因で鼻全体が曲がって見える場合は「骨性斜鼻」と呼びます。
事故などの怪我が原因で鼻骨が曲がってしまうケースもあります。
鼻の歪み方でもさらに3種類のタイプに分けられます。
◆斜鼻タイプ ・ストレート型(I型) ・C Shape型(C型) ・S Shape型(S型) |
まっすぐな鼻筋が斜めに伸びているストレート型、鼻筋がカーブしているC Shape型、鼻筋がS字に歪んでいるS Shape型…
斜鼻のタイプによって、見た目の特徴が異なります。
さらに、適した治療法や手術方法も異なります。
軟骨性斜鼻
「軟骨性斜鼻」とは、鼻の中にある軟骨が鼻の形に影響を及ぼしている状態。
生まれつき鼻の軟骨が曲がっている、事故や怪我で軟骨が曲がってしまった場合…
要因はさまざまですが、鼻の軟骨が原因で生じる斜鼻は「軟骨性斜鼻」と呼ばれます。
鼻の中心部には、鼻中隔軟骨(びちゅうかくなんこつ)があります。
この鼻中隔軟骨が大きかったり曲がったりすると、鼻の歪みにつながるのです。
鼻中隔が歪んでいる「鼻中隔湾曲症」は、珍しい症状ではありません。
左右非対称、大きい、ズレている、ということは、ほとんどの人に起こっているのです。
あまり気にしていない方、自分が斜鼻だと気づいていない方が意外に多いですよ。
斜鼻や鼻中隔湾曲症による影響
斜鼻は、見た目の問題以外にも、日常生活に悪影響を及ぼす可能性があります。
では、どのような影響を与えるのでしょうか?
考えられる症状を順番に解説します。
鼻詰まり
鼻中隔が湾曲していると、鼻の穴が狭くなります。
鼻詰まりを起こしやすくなる、鼻呼吸が難しくなる、といったデメリットがあります。
みなさんはちゃんと鼻呼吸できていますか?
無意識に口呼吸になっているという方も多いのではないでしょうか。
口呼吸が習慣化すると、さまざまなリスクが伴います。
鼻が詰まりやすい方やつい口呼吸がメインなってしまうという方は、斜鼻や鼻中隔湾曲症の可能性が否めません。
いびき
鼻が曲がっていると、いびきをかきやすくなります。
いびきと鼻の歪みは、一見関係ないように思えますよね。
しかし、斜鼻は、いびきの大きな原因でもあるのです。
寝ている間に口呼吸になってしまうと、どうしてもいびきをかきやすくなります。
ですが、自分のいびきにはなかなか気づけません。
起きたときにいつも口が乾燥している、のどが痛い、という方は口呼吸になっているかもしれません。
最近は自分のいびきを確認するアプリや機器もあるので、確かめてみても良いですね。
虫歯になりやすい
口の中が乾燥していると、虫歯のリスクが高まります。
鼻の歪みが原因で口呼吸になってしまう方は、虫歯に気をつけましょう。
さらに、口の乾燥は虫歯だけでなく、口臭や歯肉炎、歯周病の原因にもなります。
鼻の歪みを治療することで、虫歯や口臭、歯周病を予防できる可能性があります。
風邪を引きやすい
斜鼻が原因で普段から口呼吸になってしまう方は、風邪をひきやすい傾向にあります。
鼻呼吸ができていれば、ほこりやウイルスは鼻毛にキャッチされます。
しかし、口呼吸をしていれば、菌はのどの粘膜からダイレクトに体内に入り込んでしまうことに。
そのため、斜鼻が与える影響の一つに、風邪をひきやすいことも挙げられます。
ウイルス性の風邪だけでなく、乾燥からくるのどの痛みに悩まされている方も多いですね。
斜鼻を自力で治すリスク
美容整形は費用が高い、ということで斜鼻を自力で何とかしようとする方もいらっしゃいます。
ご紹介したように、斜鼻は身体のあらゆる部分に悪影響を及ぼします。
しかし、骨や軟骨の湾曲が原因であれば、自力で治すことは難しいです。
インターネットや動画サイトには、「斜鼻を自力で治す方法」としてさまざまなマッサージ方法が紹介されています。
実際に試してみたという方もいるのではないでしょうか?
ですが、自力で斜鼻を治すことには、大きなリスクが伴います。
考えられるリスクを見てみましょう。
鼻の骨の形状が変わる
ネット上で紹介されている方法として、鼻周りのマッサージ、洗濯バサミで挟む方法などがあります。
しかし、鼻の軟骨は非常に柔らかいため、力が加わると形が変わってしまうことも。
軽い力で行っていても、負担をかけ続けることで鼻の歪みが悪化する可能性もあります。
骨の形状が変わり、一部だけが出っ張ってしまい、横から見たときに鼻のラインが凹凸してしまうことも。
自力で鼻に力をかけると、斜鼻を悪化させる可能性があるため、過度な負担をかけることは避けましょう。
不自然な形になる
鼻中隔軟骨が大きいことが原因で斜鼻になっている場合、軟骨部分を指で押して小さくしようとする方がいらっしゃいます。
しかし、指で押すだけで軟骨が小さくなる、位置が下がるということはほとんどありません。
仮に軟骨に変化があったとしても鼻の穴が左右非対称になり、余計に斜鼻が目立ってしまう可能性も。
鼻筋や鼻の穴のバランスが悪くなり、不自然さを際立たせてしまうリスクが否めません。
さらなるコンプレックスとなってしまう可能性もあるため、自力で斜鼻を治療することには大きなリスクが伴います。
何一つ良いことはないので、自力で何とかしようとしないでください。
斜鼻修正術の特徴
鼻の歪みを治療する場合、「斜鼻修正(しゃびしゅうせい)」を行います。
曲がった鼻をまっすぐに戻すという施術です。
◆詳しい施術方法 ・突き出ている骨を削る ・軟骨を入れる ・プロテーゼを入れる |
鼻中隔軟骨(びちゅうかくなんこつ)が湾曲している場合は、鼻中隔湾曲症に対する手術を行います。
方法はさまざまですが、軟骨に直接アプローチする方法などがあります。
このような手術は、必ずしも見た目だけの問題で行う施術ではありません。
斜鼻が原因で鼻が詰まったり口呼吸になると、日常生活に支障をきたす場合があります。
健康に影響を及ぼす症状なので、治療として受けられる方が多い施術です。
斜鼻修正術のメリット
斜鼻修正には、さまざまなメリットがあります。
鼻の歪みに悩んでいる方は、斜鼻修正のメリットを知ったうえで検討してみてくださいね。
自然な鼻に仕上がる
斜鼻を治す施術では、骨を削ることもあるため比較的大がかりな手術になります。
しかし、歪みをなくす程度であれば、大きく変化してしまうことはなく、自然な鼻に仕上がります。
斜鼻修正は、鼻の歪みを矯正するための治療です。
鼻を高くしたり、小鼻を小さくする手術とは異なります。
そのため、ゆがみ矯正と同時に鼻を美しくしたい、横幅を小さくしたいといった希望があれば、美容クリニックにご相談ください。
傷跡が目立たない
斜鼻修正は、基本的にオープン法で施術します。
鼻柱の目立たない部分を切開し施術を進めるため、傷はきれいに治ることがほとんどです。
ダウンタイムは、他の鼻整形とほとんど同じで、腫れや内出血が1週間ほど続きます。
あまり腫れない方もいらっしゃいますが、念のためスケジュールを調整しておくと安心ですね。
効果が半永久的である
斜鼻修正では、鼻骨や軟骨にアプローチするため、効果は半永久的に続きます。
ヒアルロン酸注射や糸による鼻施術では、数か月ごとにメンテナンスが必要となります。
しかし、外科手術によって鼻の歪みを矯正してしまえば、元の形に後戻りしてしまうことはほとんどありません。
1度の施術で鼻の歪みを解消できる点は大きなメリットですね。
斜鼻修正術の注意点
メリットが多い斜鼻修正ですが、留意しておくべき注意点もあります。
術後のトラブルに発展させないためにも、事前に注意点を把握しておきましょう。
術後のダウンタイム
手術直後は、ダウンタイムが生じます。
術後2週間ほどは、赤く腫れたり痛みが出ることも。
処方されたお薬を服用し、正しく処置すれば炎症はおさまります。
そこまで慌てる必要はありません。
また、術後は鼻を触らないようにしましょう。
きれいに手を洗っていても、細菌感染の可能性があります。
術後しばらくは不便ですが、医師の指示に従って生活してくださいね。
術後の通院が複数回ある
斜鼻修正後は、施術内容やクリニックによって異なりますが、数回通院しなければなりません。
◆通院内容 ・ガーゼを外す ・抜糸する ・ギプスを外す ・患部の経過観察 など |
術後は、このような目的で数回診察を受けます。
腫れや炎症がひどい場合は、それ以上の通院が必要とされることも。
ただし、長期的なメンテナンスが必要なわけではないため、術後すぐの複数回のみと認識しておきましょう。
斜鼻の修正なら自力ではなく美容クリニックへ相談を
鼻の歪みを自力できれいにすることはほぼ不可能です。
歪みや湾曲を悪化させる恐れもあるため、無理に力を加えることは避けてください。
「斜鼻修正」は美容整形よりも治療に近い施術です。
健康に影響を及ぼす可能性もあるため、少しでも悩みがある方は早めに医療機関を受診しましょう。
まとめ
鼻が曲がっている、鼻が詰まりやすい、鼻呼吸が難しい…
このような悩みがある方は、鼻の歪みを治すことで症状が改善されるかもしれません。
美容整形に抵抗があり、自力で治そうとする方もいますが、健康上の問題につながる可能性もあるので、必ず医師に相談しましょう。