医師としての信念
「医師とは人が今よりも幸せになる手助けをする仕事である…」
これは、私が医師を目指そうと思った小学生の頃からずっと心に抱いている信念のようなものです。
もし私が内科医であったとしても、精神科医であったとしても、その思いは変わることがなかったはず。
心臓外科医としての経験
医大を卒業してから、私が最初に飛び込んだのは心臓外科の世界でした。
多忙で過酷ではありましたが、多くの知識を身につけ、貴重な経験を積み上げることができた日々です。
大動脈瘤や弁置換などの高度な手術、冠動脈バイパス術のような繊細な血管吻合の技術も習得し、この上ない充実感を味わっていました。
しかし、あることがきっかけで医師としての第2ステージ、美容外科の世界へ飛び込むことになりました。
美容外科医への転身
周囲から聞こえてくるのは
「180度違う世界でやっていけるのか?」「せっかく築いた実績があるのにもったいない」
このように心配してくださる声が大多数でした。
しかし、心臓外科医も美容外科医も同じメスを握る仕事であり、人を幸せにする仕事であることには変わりないと思っています。
心臓外科医と同じくらい、もしくはそれ以上のやりがいが得られると期待を胸に転身したのです。
ゼロからのスタート
再び「ゼロ」からのスタートとなりました。
右も左も分からない美容整形の世界で、自分がやりたいこと、やるべきことを見つけるために先輩方の手術を徹底して研究しました。
なぜその術式が正しいのかを自分なりに分析し、もっと良い方法はないのか、同じ方法でももっと満足度の高い手術はないのか、と常に考えを巡らせていました。
活かせる心臓外科医としての経験
実際に手術を担当するようになると、心臓外科医として培ったすべてが美容整形に活かせるということに気づきました。
繊細な技術を要求される心臓外科手術を数多く行ってきた私にとって、美容整形手術はある意味とても分かりやすいものだったのです。
また、麻酔に関する知識と高いスキルを持っていたことも幸いしました。
心臓外科の世界では、シビアな麻酔の使い方や全身管理の技術が必要とされます。
その経験が美容整形手術で大いに役立つことになったのです。
何千回、何万回と手術を行い、たくさんの症例、つまり経験を積んできました。
目指し続けていること
・お客様が必ず満足すること ・余計な手術はしないこと ・できるだけ短時間で 侵襲の少ない手術をすること ・失敗しないこと |
この目標を掲げてから今まで1度も達成できなかったことはありません。
ただ、唯一お客様を満足させられないケースがあります。
それは、他院でどうしても修正のきかない手術を受けた方が、失敗の修正をしてほしいと来院されたとき。
修正手術が難しい例
プロテーゼの入れ直しや移植手術などはやり直しができます。
しかし、鼻翼縮小術で極端に切られてしまった小鼻を再び元に戻すことはできません。
仕上がりのイメージができないまま手術を行った前院の責任であることには違いありません。
同じ美容外科の世界にいる医師が、お客様の心と体を傷つけたことに悔しさが湧き上がってくる瞬間です。
もちろん、そのような場合はできる限り見た目が整うように修正はさせていただきます。
技術もセンスもない美容外科医が世にはびこり、手術件数を鼻高々に宣伝しながら集客していることに憤りさえ感じます。
そういった意味で美容外科医には、病気を治療する一般の医師とは若干異なる資質が必要だと考えています。
一般の医師と美容外科医の違い
病気の治療をする医師は、たくさんの症例を見て人の身体や病気の特性を理解することでスキルアップします。
つまり、たくさんの患者様を診察し、治療したベテラン医師ほど有益な知識や情報を持てる可能性があります。
一方で美容外科医は手術回数や経験年数が、お客様の満足度に直結するわけではありません。
美容外科医をF1レーサで例えると…
少し極端なたとえになりますが、美容外科医はF1レーサーでなければなりません。
医師免許が自動車の普通免許だとしましょう。
業務として人を乗せることのできるタクシードライバーは2種免許を取得しなければなりません。
とはいえ、それほど高度な試験ではなく、講習を受けて普通免許取得時のスキルにほんの少し上乗せすれば習得できるものです。
医師の世界での2種免許は、専門家の資格に相当すると考えられます。
しかし、この制度もどちらかというと机上の空論の資格であって、技術が伴っているかどうかは定かではありません。
現在の日本の問題点
厚生労働省も専門医のことを
「それぞれの診療領域における適切な教育を受けて、十分な知識・経験を持ち、患者から信頼される標準的な医療を提供できる医師」
と定義し、
「神の手を持つ医師」や「スーパードクター」を意味するものではないと明言しています。
(「専門医の在り方に関する検討会/報告書」より)
「資格=患者さんを満足させる」
というわけではなく、あくまでも標準をクリアしているだけに過ぎません。
美容外科医が目指すべきところ
だからこそ、私はF1レーサーでありたいと思うのです。
専門医でもなく大学病院の外部部長といった経験もありませんが、美容整形というサーキットの中で最高のパフォーマンスを見せることのできる医師です。
それが美容外科医の目指すべき境地のはずです。
鼻整形で成功するために
美容整形の中でも特に難しい鼻整形においては、F1レーサー並みのスキルがなければ「常に成功」することは難しいと確信しています。
二重手術やシワ取り、豊胸といった手術はある一定の技術がある医師であれば、遜色なく仕上げることができます。
しかし、鼻に関しては、数ミリ単位でメスを入れ、縫合し、形を調整する必要があります。
しかも、鼻の形状には一つとして同じものはありませんから、毎回同じ手術法というわけにはいきません。
顔全体のバランスを考え、具体的に仕上がりをイメージしながらの手術。
その仕上がりの優劣は、残念ながら手術をこなした回数とは比例しません。
新人であってもセンスがあって鼻の手術に長けている医師はいます。
そういう人材を利益のために浪費せず、しっかりと育てていくことはこれからの美容外科業界にとっての課題でもあります。
美容外科医としてのやりがい
前職の心臓外科医もやりがいのある仕事でした。
しかし、一般医療では「医者は病気を治して当たり前」という前提が患者さんの中にはあることは事実です。
それに比べて、美容整形の世界では手術が終わるごとにお客様の笑顔を見ることができますし、感動を分かち合うことができます。
私にとってこれほど幸せなことはありません。
そして天職に巡り合えたことにも感謝しています。
この感謝の気持ちは、これからの人生の中で、笑顔になるお客様をさらに増やしていくことで表現していきたいと思っています。
まとめ
「日本の鼻整形手術に、杉崎あり」
世界中の人から認めてもらえるように、これからも精進していきたいと思っています。
より多くの方が前向きで笑顔溢れる人生を歩まれることを祈っています。