シワの発生を防ぐボトックス
美容医療におけるボトックス治療は、多くがエイジングケアに応用されています。
目尻や眉間、額などに現れる「表情ジワ」の解消に効果を発揮しています。
顔にできるシワは、皮膚の下にある筋肉と密接な関係にあります。
例えば、目尻の「笑いジワ」は、笑うたびに目尻の筋肉が同じ収縮を繰り返すことで刻まれていきます。
ボトックスの効果
ボトックスには、筋肉の動きを止める作用があります。
皮膚の折れ曲がりを防ぎ、「折れジワ」そのものの発生を抑制するのです。
繰り返し髪を折ると、ハッキリとしたシワができますよね。
同様に、わたしたちの皮膚も繰り返し同じ表情を作れば、少しずつシワになっていくのです。
ボトックス注射を使い、筋肉の動きを止めることが、表情によるシワを防ぐことになるのです。
効果のピーク
ボトックス注射は、その性質上、注射してすぐに効果が現れるものではありません。
個人差はありますが、注射から2~3日かけて末梢神経や筋肉に作用し、徐々に変化が現れます。
効果のピークは、注入後2週間~1ヶ月程度。
施術を受ける頻度
注入後、3~4か月ほど経過すると、緩やかに効果が薄れていきます。
効果が薄れてくると、筋肉が元の動きをするようになり、表情によってはまたシワができはじめます。
これくらいのタイミングで再び施術を受けることが好ましいです。
ダウンタイム
ボトックスには、筋肉の緊張を抑制する効果があります。
注射後すぐは違和感を感じる方もいますが、数日で解消されます。
シャワーや入浴は当日から可能ですから、術後に日常生活が制限されることはほとんどありません。
副作用
ボトックス治療では、繰り返し注射することで体に負担がかかる、副作用が現れる、といった問題がほとんどありません。
何もしなければ確実に深くなっていくシワの進行を防ぐためには、定期的なボトックス注射がおすすめです。
継続的にボトックス注射することで、顔に「折り目」をつけないという予防が有効です。
自然な仕上がりを得る方法
ボトックス注射は、「注射するだけ」という実にシンプルな治療法です。
しかし、たかが注射、されど注射。
どのクリニックのどの医師に任せても大丈夫、というわけではありません。
医師のセンスと技術力次第では、妙にこだわった顔つきになってしまうことも。
GBCのこだわり
当院では、顔の筋肉に沿って数か所注入するという方法を取っています。
打ち方や打つ部分によって仕上がりが変わるため、強いこだわりを持って施術しています。
アラガン社推奨の打ち方
ボトックス製剤のシェアが世界一である米国アラガン社は、ボトックスの使用について独自の方法を推奨しています。
そのため、多くのドクターは、アラガン社の方式に沿って施術しています。
しかし、実はこの方法では、まれにお客様の表情が不自然になる場合があるのです。
ですから、私はお客様の筋肉の動きに合わせてあえて打つ場所を変えるようにしています。
眉間のシワへのボトックス注射
私が以前、アラガン社の講習会で教わった「眉間の縦ジワの改善」では、
・鼻の付け根から縦に伸びる鼻根筋 ・横に伸びる皺眉筋の中央部分あたり |
まで注入するように指導されました。
アラガン式のリスク
しかし、実際にその位置にボトックス注射を打つと、眉頭の筋肉が動かなくなる一方、眉尻の筋肉は通常通り動いてしまいます。
すると、「吊り眉」のようになってしまうことがあるのです。
別のクリニックでボトックス注射を受けたお客様が「吊り眉」になってしまったと当院にいらっしゃったこともあります。
杉崎式のポイント
そこで私は眉毛の動きは極力止めずに、眉間の動きだけを止めるようにボトックス注射を行っています。
具体的に言うと鼻根筋(びこんきん)、皺眉筋(すうびきん)、眉間のみに注射を行っているのです。
こうすることで吊り眉になることを防いでいるのです。
ただし、人によってはそれ以外の位置にも打つ必要があります。
ボトックス注射は、お客様ひとりひとりの筋肉の動きに合わせて打つことが重要です。
「アラガン式」と「杉崎式」で注射位置が異なるのはこのことを指すのです。
額のシワへのボトックス注射
また、額のシワにボトックスを効かせる場合は、基本的にやや上寄りに注射します。
下の方に注射してしまうと、眉や目が重たく下がったようになるからです。
額の横ジワは、額を覆う前頭筋(ぜんとうきん)が縦に委縮することで生じます。
そのため、ボトックスは、額の中央あたりからサイドにかけて注入するのが基本ですが、詳細な位置はその人に合わせて微調整する必要があります。
額ボトックスの失敗例
額へのボトックス注射が原因で吊り眉になってしまった、という方もしばしばご来院されます。
眉尻の筋肉の止まりが甘かったために、眉尻だけが上がってしまうケースです。
先ほど、「やや上寄りに注射する」と言いましたが、目尻だけは「やや下側」に注射します。
そうすることで、吊り眉になるのが防げますし、まぶたに重たさを感じることもなくなります。
目尻と目の下のシワにボトックス注射
目尻と目の下のシワ改善では、目の周囲にある眼輪筋(がんりんきん)に注射します。
ただし、目の下へのボトックス注射には注意が必要で、目頭側や下まぶたの真ん中あたりに注射してしまうと表情がなくなってしまいます。
眼輪筋が縦に委縮したときにシワが寄る、目尻と目の下の外側だけに注射するのがポイントです。
ボトックスの「2列注入」
ボトックス製剤には、浸透して広がる性質があります。
そのため、注入した部分だけでなく、その周囲の筋肉にも作用します。
例えば、額の横ジワに対して常に「2列注入」する医師もいるようですが、それでは広範囲に効きすぎる恐れがあります。
ですから、私は、ボトックスが浸透する範囲を計算し、基本的には1列のみの注入にしています。
この方法であれば、適度にボトックスが広がり、全体的に動きが抑制されます。
ただ、よりしっかりと広範囲に効かせたいという場合は「2列注入」することもありますよ。
必要以上の量を注入しない
当然ですが、筋肉の動きを止めるボトックス注射時は、シワの改善に焦点を当て、必要以上の注射をしないことが基本です。
さらに、より満足度の高い施術を実現するためには、シワの改善だけでなく、表情に違和感が出ないよう配慮すべきです。
せっかく施術を受けても、笑顔が不自然になってしまうことは避けたいですよね。
後悔しないためにも、ボトックスの性質や効果を丁寧に分かりやすく説明してくれるクリニックを選ぶようにしましょう。
まとめ
ボトックス注射で満足のいく効果を得るためには、
・クリニック選びを慎重に ・打ちすぎを避ける |
このようなポイントに注目してください。
若々しくきれいでいるための手段であるボトックス注射ですが、表情がなくなったり不自然な笑顔になってしまうのはやはり悲しいですよね。
カウンセリングでは、治療方法や製剤に関する疑問を解決するまで質問し、しっかりと理解し納得したうえで施術を受けるようにしましょう。