TCAとは?
トリクロロ酢酸(Trichloroacetic Acid)の略であるTCA。
美容医療では、主に皮膚に対する施術に使用されます。
治療法によってトリクロロ酢酸の濃度が異なり、濃度の低い施術には「マッサージピール」や「ミラノリピール」などのケミカルピーリングがあります。
TCAクロスとは
高濃度のトリクロロ酢酸を使用して行うTCAクロス。
主にクレーター治療に用いられる方法です。
トリクロロ酢酸をクレーター部分に直接塗布すると皮膚が盛り上がります。
この特徴を活かしてクレーターを治療するのです。
TCAクロスの濃度
美容クリニックで使われるTCAクロスの濃度は、通常50~100%です。
100%に近ければ近いほど効果が出ますが、赤みや色素沈着、膨らみや凹みといったリスクが高まります。
そのため、50%くらいから始めて、少しずつ濃度を上げていくことが多いです。
TCAクロスの効果
主にクレーター治療として使われるTCAクロス。
しかし、全てのクレーターに効果があるとは限りません。
TCAクロスで治療できるクレーターの種類、他の施術が適しているクレーターの種類をみていきましょう。
効果的なクレーター
・アイスピック型
・ローリング型
2mmほどの小さく深いクレーターや少し凹んだクレーターにはTCAクロスがおすすめです。
ニキビ跡が顔全体にあるというよりは、数か所に点在しているという方に適した施術ですよ。
効果がないクレーター
・ボックス型
・深いボックス型
TCAクロスは、面積が大きいものや広い範囲のクレーターには向いていません。
ボックス型のクレーターでも小さいものであれば施術可能です。
TCAクロスの施術手順
美容クリニックでTCAクロスを受ける場合の流れを簡単にご紹介します。
詳細はクリニックによって異なるので、事前に確認しておきましょう。
洗顔・消毒
まずは、パウダールームで洗顔します。
日焼け止めやメイクを落としたら、処置室に移動します。
施術部位を消毒し、施術に入ります。
施術
TCAクロスは、クレーターの部位に薬液を垂らす施術です。
先端が尖った針などに薬液を付けて垂らす方法、細い注射針で薬液を垂らす方法があります。
薬液を垂らした部分は白くなっていきますが、フロスティングと呼ばれる正常な反応ですのでご安心ください。
保護
施術後は、肌の状態や使用した薬液の濃度に合わせてアフターケアを行います。
方法はさまざまで、薬液を洗い流す場合もあれば落とさない場合も。
患部にステロイドなどの軟膏を塗ることもあれば、何も塗らないこともあります。
保護テープを貼るクリニックもありますよ。
TCAクロスの回数や頻度
ニキビ跡などのクレーターを治して、すぐに美肌を手に入れたいですよね。
では、TCAクロスは1度でどのくらいの効果があるのでしょうか?
必要な回数や施術間隔をご紹介します。
回数
肌質やクレーターの状態によりますが、1度でクレーターの2~3割が改善すると言われています。
3~5回ほど繰り返すことでほとんどの方が効果を感じられます。
クレーターの大きさによっては、1度でかなり効果を感じるケースもありますよ。
頻度
複数回にわたって施術を受ける場合は、数か月間隔をあけて施術します。
最低でも1か月以上はあける必要があります。
赤みなど何らかの症状が残っていれば頻度が変わるため、医師と相談しながら治療計画を立てましょう。
TCAクロスのダウンタイム
アイスピック型のクレーター治療におすすめのTCAクロスですが、施術後はどのような症状が出るのでしょうか?
施術後に起こり得る皮膚の変化をご紹介します。
白くなる
TCAクロスでは高濃度の薬液をクレーターに垂らします。
薬液がついた部分は色が白く変化します。
赤みが出る
薬液を垂らして白くなった部分は、翌日~数日後に赤みが出てきます。
ジュクジュクしてくることもありますが、正常な反応なのでご安心ください。
かさぶたができる
さらに時間が経つと、かさぶたができはじめます。
ここで気になって触ってしまうと、せっかくの施術が無駄になってしまいます。
無理に剥がそうとはせず、自然に剥がれるのを待ちましょう。
痛みが出る
施術後は患部がヒリヒリしたりチクチクとした痛みが出る場合があります。
しかし、我慢できないほどの痛みではありません。
TCAクロスの注意点
ニキビ跡治療で効果を出すためには、これから紹介する注意点を守る必要があります。
TCAクロスを検討中の方は、しっかりとチェックしてから施術を受けてください。
紫外線対策を徹底する
TCAクロスに限らず、美容皮膚施術後は肌がとても敏感になっています。
短時間でも紫外線に当たると炎症反応を起こしやすくなるため、紫外線対策を徹底してください。
しかし、患部がジュクジュクしているときはメイクできないので、日焼け止めを塗っても良いかどうかは医師に相談しましょう。
肌を清潔に保つ
施術した部分が気になっても触ってはいけません。
石鹸で手を洗っても雑菌が残っている可能性がありますし、触ることが刺激になる場合もあります。
洗顔は泡で優しく行い、刺激を与えないようにしてください。
かさぶたは剥がさない
施術した部位はかさぶたになることがあります。
無理に剥がすとクレーターが深くなったり治りが悪くなったりします。
自然に剥がれるのを待ち、気にしすぎないように過ごしましょう。
TCAクロスのよくある質問
Q.TCAピーリングとは何ですか?
A.「ミラノリピール」や「マッサージピール」のことを「TCAピーリング」と呼んでいるクリニックもあるようです。
「ミラノリピール」には、トリクロロ酢酸のほか、サリチル酸、酒石酸、クエン酸、ラクトビオン酸などが含まれています。
「マッサージピール」には、トリクロロ酢酸のほか、低濃度過酸化水素、コウジ酸などが含まれています。
Q.TCAクロスで瘢痕化するって聞いたんですけど…
A.TCAクロスは、凹んだクレーターを盛り上げる治療法です。
盛り上がりすぎてしまったり、炎症反応が強く盛り上がるのを阻止してしまうと逆にクレーターが深くなってしまうこともありますが、かなり稀です。
ほとんどの場合、TCAクロスで悪化することはないのでご安心ください。
ただし、ケロイド体質の方は注意が必要です。
Q.施術中は痛いですか?
A.施術中は軽度から中度の一時的な痛みを感じることがあります。
しかし、ピンポイントで薬液を垂らす治療なので一瞬で完了します。
痛みを感じる時間も短いため、麻酔なしで施術可能です。
Q.TCAクロスを受けた後はどのようなケアをしたら良いですか?
A.施術後は色素沈着を防ぐスキンケアを心がけてください。
例えば、クレンジングや洗顔時に擦ってしまうと施術部位の色味が残ってしまいます。
当院では、赤みや色素沈着を予防するさくらピュアクリーム、W洗顔不要のクレンジングソープをおすすめしています。
まとめ
今回は、ニキビ跡治療におすすめのTCAクロスをご紹介しました。
TCAクロスは、2mmほどの小さく深いクレーターの治療を得意としています。
1度の施術で2~3割が回復するため、ニキビ跡をしっかりと消すためには、3~5回ほど続けると良いでしょう。
紫外線対策や摩擦対策をしっかりと行い、施術の効果が得られるよう過ごしてください。