ボトックスとは?
「ボトックス」とは、筋肉に直接作用させる治療で用いる薬剤の一つ。
正確には「ボツリヌストキシン」と呼ばれるタンパク質を指します。
本来、「ボトックス」と呼べる製剤は、アラガン社が製造販売するボツリヌストキシン製剤「ボトックスビスタ®」、グラクソスミスクライン社が販売する「ボトックス®」のみ。
しかし、一般的にボツリヌストキシン製剤のことを「ボトックス」と呼んでいます。
ボツリヌストキシン
「ボツリヌストキシン」と聞くと、マイナスなイメージを持つ方もいるのではないでしょうか?
ボツリヌストキシンとは「ボツリヌス菌」という細菌が作り出すタンパク質のこと。
1895年ごろに発見されたといわれています。
ボツリヌス菌に関する研究は進み、「A型ボツリヌス菌」「B型ボツリヌス菌」…などと発見順に名前が付けられています。
現在ではA~Gまでの7種類が発見されています。
このうち医薬品として製剤化され、人体に使用されているのは「A型」と「B型」の2つです。
ボトックスの歴史
ボツリヌストキシンとは、ボツリヌス菌が作り出すタンパク質である、と述べました。
しかし元々は「毒素」として発見されていたのです。
この「毒素」を作り出す細菌が、同じボツリヌス菌の中に7種類見つかっているため、それぞれが作り出す「毒素」も7種類あるということになります。
化学兵器としてのボトックス
ボツリヌストキシンは第二次世界大戦中に、生物化学兵器としての研究が一気に進んだといわれています。
こう聞くとなんだか恐ろしいですが、ボツリヌストキシンの主な作用には「末梢神経の伝達経路に作用して、骨格筋の弛緩作用をもたらす」というものがあります。
※弛緩作用(しかんさよう):緊張をほぐし、筋肉をだらりとさせる作用
医薬品としてのボトックス
この作用のメカニズムに目を付けたのが、戦後の研究者たちです。
このままではボツリヌストキシンが兵器となってしまい危険、ということで、1975年に生物化学兵器に利用してはいけないという世界的な条例ができました。
それ以降、研究者たちはボツリヌストキシンの持つ機能をプラスの方向に活かそうと研究を重ねました。
こうしてボツリヌストキシンの医薬品としての利用方法が見つけ出されたのです。
目の治療としてのボトックス
最初は斜視(しゃし)という病気に対する治療薬として、ごく少量のA型ボツリヌストキシンを注射することから始まりました。
斜視とは左右の目がそれぞれ違う方向を向いている状態をいいます。
その後、眼瞼痙攣(がんけん けいれん)と呼ばれるまぶたの筋肉がピクピクと動く病気など、顔面のけいれんに対する治療へと広がりました。
安全性が認められたボトックス
医薬品として利用するための方法が確立されているボトックス(ボツリヌストキシン製剤)。
注射薬として安全性が認められており、現在では80か国以上で医薬品として使用されています。
ボトックスの効果
筋肉を麻痺させることで身体に起こる症状を和らげるボトックス。
美容医療においてボトックスはどのような効果を発揮するのでしょうか?
筋肉を緩める
ボトックスの作用である「筋肉の弛緩」は、筋肉のけいれんを緩和するだけではなく、シワを目立ちにくくする効果が期待できます。
というのも、顔にできるシワは、皮膚の下にある筋肉の動きと関係があるからです。
例えば「笑いジワ」。
繰り返し笑うことで、顔の筋肉が同じような収縮を繰り返します。
そうすると少しずつシワが刻まれてしまいますよね。
ボトックスには、笑ったときに収縮する筋肉の緊張を抑えるという作用が期待できるため、シワが気になる部分への注入が効果的です。
気になる部分に少しずつボトックスを注入することで、筋肉の余分な緊張を取り除き、表情ジワを目立たなくしていきます。
笑ったときにできる目尻のシワ、怒ったときにできる眉間のシワなど、顔のシワが気になる方にはボトックス注射がおすすめです。
筋肉の縮小
直接筋肉にはたらきかけるボトックス。
エラやふくらはぎ、肩や首周りの筋肉を縮小する効果も期待できます。
また、僧帽筋にボトックス注射を打てば、肩や首のコリやハリをほぐす効果もありますよ。
汗を止める
ボトックスはこの他にも、多汗症やわき汗対策としても用いられています。
ボトックスには汗腺への神経伝達を阻害するはたらきがあるため、噴き出す量の汗を減らしていきます。
ボトックスの効果はいつから?
ボトックスは性質上、注射後すぐに効果が現れるものではありません。
注射後にボトックスが末梢神経や筋肉に対して作用する変化は数日間かけて起こります。
個人差はありますが、この期間はおよそ2~3日。
効果のピークとしては注入後2週間~1か月ごろとなるため、徐々に効果が現れるお薬である、といえそうです。
ボトックスの注意点
美容医療として注目されているボトックスですが、本来は保険適用のある疾患に対する治療薬です。
安全性が高い反面、副作用やリスクも併せ持っているのがボトックス注射なのです。
筋肉の動きは皮膚の上からは見えません。
そのため、ボトックスで効果を得るためには解剖学的知識が豊富で適量をしっかりと注入できる医師の腕が必要となります。
ボトックスで失敗しないために
施術時間が短く、比較的手軽に試せることが人気の理由となっているボトックス注射。
しかし、実際に施術を行う医師がどれだけ慣れているか、見極めておく必要があります。
当院では、施術前のカウンセリングを大切にしています。
どのような悩みがあるのか、どう改善したいのか、不安はないか…
お客様に寄り添った施術が行えるよう努力しています。
シワが気になる方、筋肉のハリやふくらみを解消したい方、わき汗や多汗症に悩んでいる方は、是非カウンセリングにお越しください。
まとめ
今回はボトックス(ボツリヌストキシン製剤)が医薬品として確立されるまでの歴史、ボトックスの効果やおすすめの部位についてご紹介しました。
筋肉や汗腺にはたらきかけるボトックス注射。
メスを使わない美容医療としてその手軽さが人気の理由です。
シワ解消、エラやふくらはぎの縮小、多汗症治療を検討中の方はまずはカウンセリングにお越しください。