<番外編>
難病治療の一環として…。美容外科手術が社会貢献に
経緯
彼女は顔の右側に「ロンバーグ病(進行性顔面片側委縮症)」を患っていました。
この疾患は、額や頬の片方だけ脂肪や骨組織が萎縮するもので、顔半分がえぐられてるように変形していきます。
原因はまだ分かっておらず、根本的な治療法も見つかっていません。
成人すると症状が落ち着く人が多く、その後形成外科で顔面の修復手術を受ける人もいるそうです。
なかなか受け入れてもらえず…
修復手術を受けずに生活を送ってきた彼女は、40歳を手前に美容外科に相談することを決心したそうです。
これまで数軒の美容クリニックに足を運びましたが、「症例がない」と断られ続けたそうです。
当院でようやく話を聞いてもらえたと喜んでいました。
治療方法の検討
しかし、私もロンバーグ病の症状を見たのは初めてでしたし、予想以上に委縮した顔に選択肢は注入しかないと思いました。
形成外科ではメスを入れることもあるようですが、それは頬や額の見える部分に傷ができてしまいます。
ヒアルロン酸注入といった方法もありますが、長期的な持続は期待できません。
一方、私が普段若返りの施術で使用している「マイクロCRF注入(フィラ―ゲラー)」で定着すれば、半永久的に顔のふくらみを維持できる期待が持てるはずです。
しかし、定着には個人差があります。
さらに、左右対称のふくらみになるかどうかは判断が難しいものでした。
このことを彼女に正直に話すと、「完璧でなくても構いません。今より少しでも左右の差がなくなれば嬉しいです。」と言ってくれました。
当院が行った方法
・マイクロCRF注入(フィラ―ゲラー) |
通常よりも注入範囲が広いため、少し長めに施術時間を取りました。
目の下のたるみに入れる量とは比べ物にならないほど大量の脂肪を作成し、顔に丁寧に注入していきます。
左側とのバランス、脂肪を入れる場所、量を見ながら慎重に治療を進めていきました。
術後すぐは注入した顔の右側が腫れて大きく見えましたが、やがて落ち着き、ほぼ左右対称に近い顔になりました。
美容外科の立場
健康上の問題を抱えていない人が対象になることの多い美容外科。
そのためよく「プラスの治療」と呼ばれます。
しかし今回の彼女と出会ったことで、美容外科が病気やケガなどで見た目の問題を抱えている人にとってのマイナスをプラスにすることができるのだと実感しました。
まとめ
「ロンバーグ病」という難病を患った彼女との出会いは、私にとって貴重な経験になりました。
彼女の他にも、病気やケガが原因でコンプレックスや大きなストレスを抱えている人が多くいらっしゃいます。
その人たちにとって、美容クリニックが少しでも力になれる存在になれたら幸いです。