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2018.10.29

美鼻を手に入れ、生活が変わった人たち<症例②>


前回に引き続き、当院で手術を行った患者さんの一例をご紹介させていただきます。

《症例②》耳が不自由だという理由から、他院での美容整形手術を断られてしまった、聴覚障害をもつ女性

手術までの経緯
ある日の午後、予約なしで突然クリニックに現れたのが中田さんでした。靴をスリッパに履き替え、受付の前に立ち、中田さんは受付にいたカウンセラーを見つめます。
「こんにちは」
カウンセラーが声をかけますが、中田さんは黙ったままです。
「ご予約はいただいていますか?」
通常、初診の患者さんは電話などで相談をしてから来院するので、そう尋ねると、ジェスチャーで何かを訴えているのが分かりました。カウンセラーが困惑していると、手で字を書く仕草をされたので、慌ててメモ帳とペンを渡すと、サラサラと次のように書かれました。
〈私は耳が聞こえませんが大丈夫ですか?〉
これが、中田さんとの最初の筆談による会話でした。

聴覚障害のある患者さんの応対が初めてであったカウンセラーは、一瞬とまどいながらも、とりあえず話を伺おうと思い、個室へ案内しました。カウンセラーはもちろんですが、中田さんも不安だったと思います。しかし、気持ちを必死に汲み取ろうとするカウンセラーの熱意もあって、メモ帳はどんどん文字で埋まっていったのです。
〈今までコンプレックスから抜け出せずに苦しんできました。そのために、鼻とリフトアップの手術をして、自信を持ちたいという強い希望があったのですが、耳が不自由だからという理由で多くのクリニックに断られてしまい、それ以降は足を運ぶ勇気が持てなくなってしまったのです……〉
過去の辛かった出来事や、思い詰めていた心の内を泣きながら筆談で教えてくれたのです。他院で断られた理由は、「お互いの意思がうまく伝わらないから」「手術や治療中に痛みなどを訴える手段が乏しく、治療そのものが危険」といったことのようでした。
その言葉の一つひとつがカウンセラーにはとても重く響き、希望を叶えてあげたい、できることはすべてしてあげたいという気持ちがこみ上げ、頰には知らず知らずのうちに涙が伝っていました。
しかし冷静に考えれば、何かあった場合にきちんと対応できるのかという不安も生じます。カウンセラーは中田さんに少し待ってもらうようにお願いし、私と看護師のところへ相談にきたのです。

緊急会議の開始です。筆談やジェスチャーでカウンセリングはできるものなのか。リスクの説明は適切にできるだろうか。麻酔は、手術は……と話し合い、ともかくカウンセリングをしてみようということになりました。
そこで早速、カウンセラーが手術可能であることを中田さんに告げ、1週間後に正式なカウンセリングをすることを約束すると、中田さんの表情は一瞬にしてパッと明るくなりました。しかし直後、少し不安そうな面持ちになったのです。恐らく、本当に手術ができるのかどうか、まだ半信半疑だったのでしょう。カウンセリング後に断られることを考えていたのかもしれません。カウンセラーはこの時、
「中田さんを絶対に笑顔にしたい!」
と、強く心に思ったと、後で報告してくれています。

1週間後、カウンセラーはメモ帳とペンを用意して中田さんを待っていました。来院した中田さんは前回同様、緊張した様子です。カウンセラーとともに私のいるカウンセリングルームに入ってきた中田さんは、すぐに涙をポロポロと流し始めました。
手術後に、その時の気持ちを中田さんに聞いたところ、〈カウンセリングまでの日々、とても不安でした。でも、先生の優しい笑顔を見たら、安心して涙が溢れてきました〉
と、伝えてくれました。

いよいよ、ここからが本格的なカウンセリングです。カウンセラーはホワイトボードを手に、中田さんと私はメモ帳とペンを手に、静かな部屋の中でペンを走らせる音だけが響きます。
中田さんがコンプレックスを抱いていたのは「団子鼻で鼻先が大きいこと」でした。そこで鼻先を小さくする鼻尖形成術が適していること、広がっている小鼻を縮めるには鼻翼縮小術が必要なことなど、術式の組み合わせ方や手術の方法をイラストと文字で丁寧に説明していきました。細かいところや専門用語は、カウンセラーがホワイトボードで噛み砕いて説明してくれたので助かりました。

こうして筆談とジェスチャーで私のカウンセリングは終了。通常 30 分程度のカウンセリングに1時間以上はかかっていました。この後、カウンセラーと2人きりになったところで中田さんは、
〈手術をしたいです!〉
とメモ帳に大きく書きました。後日聞いたところでは、このときカウンセラーは中田さんの笑顔に感動するとともに、この手術を絶対に成功させなければと決意したそうです。そのためにも不安や疑問点は少しでも減らさなければと、手術にかかわる注意事項やダウンタイムの説明を繰り返し行いました。気がつけば3時間が経過。
「一緒に頑張りましょうね!」
そう約束し、長く、熱いカウンセリングのすべてが終了したのです。

さて、ここから私たちは手術に向けて、スタッフ一丸となって綿密な準備のスタートです。看護師は、手術の流れを画用紙にすべて書き出し、中田さんに状況を伝えるフリップを作成しました。
さらに、どういう状況が起こり得るか、考えられるパターンをすべてシミュレーションしていきます。「麻酔をします」「動かないでください」「待ってください」など、シチュエーションごとに中田さんへかけるべき言葉をメッセージボードにして用意しました。また、中田さん本人が「痛い」「気分が悪い」「大丈夫」などの主張ができるように、ジェスチャーによる合図も決めておきました。このようにさまざまな準備を重ね、いよいよ手術当日を迎えました。中田さんは緊張した面持ちながら、どこか嬉しそうです。
〈安心して受けてきてください。手術が終わるまでお待ちしています〉
カウンセラーはそう筆談で伝えると、手術室の前で中田さんに笑顔で手を振っていました。2人の信頼関係が固く結ばれていることに気づき、カウンセラーの人柄や熱意も手術を成功させる大きな要因になるのだと改めて実感しました。
看護師は前日に作成したフリップとホワイトボードを手術室に持ち込み、中田さんと意思疎通ができるようにと、いつもなら患者さんに目隠しをする場合でも目隠しせず、アイコンタクトと笑顔で安心感を与える努力を続けました。 そうして手術は滞りなく終了し、病院スタッフ一同が安堵と充実感を得ることができたのです。
当院が行った手術法
カウンセリングの結果、次の手術が必要であること、筆談を用いれば手術が可能であることを説明しました。
患者さんの状態を元に術式を検討した結果、以下の手術を行いました。
  • 鼻尖形成術
  • 鼻翼縮小術(内+外側法)

術後のこと
手術後の診察の際、中田さんは何度も何度も
〈ありがとう、ありがとう、ありがとう!〉
とメモに書き、明るい笑顔で感謝の気持ちを伝えてくれました。担当したカウンセラーと手を取り合って喜び合う姿に、私も感動したことを覚えています。
自分たちの仕事は、長年抱えたコンプレックスや過去の辛い出来事など、誰にも言えない心の悩みをともに解消することができ、人を笑顔にすることができるのだと、中田さんに関わったスタッフ全員が感じることのできた症例でした。

まとめ

今回の症例は、病院スタッフが一丸となって進めた手術でしたので、非常に強く、心に残っています。患者さんは手術後、メモ用紙に「ありがとう、ありがとう」と何度も書き、感謝の気持ちを伝えてくださいました。
仮に、今回の患者さんのように「コミュニケーションが上手くとれない」と感じていても、同じ人同士なのですから、何らかの方法はあります。一度度のカンファレンスが、30分のところ3時間かかったとしても、必ず方向性は見えてきます。

人の笑顔は、僕自身の活力にもなります。これからもたくさんの人を笑顔にできるように、精進していきたいと思っています。
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