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2018.7.2

鼻整形の術後のトラブルと原因


当コラムではこれまで、美鼻を手に入れるための具体的な手術法をいくつか説明してきました。理想の鼻を手に入れることで、晴れやかな生活を送っている人がいます。しかしその一方で、術後のトラブルに悩んでいる人も、少なからずいます。
今回は、鼻手術の際、起こり得るトラブルやリスクとその原因について見ていきたいと思います。

鼻のヒアルロン酸注入は注意すべき!!

鼻へのヒアルロン酸注入と聞くと、安価で手軽にできるというイメージがありませんか?実際、当クリニックを訪れる患者さんの中には、この施術での鼻整形を求める人もいます。
確かにヒアルロン酸注入は、メスを使用することなく、ヒアルロン酸を注射器で注入するだけなので、ダウンタイムがほとんどないため、施術後すぐにメイクが可能です。 しかし僕自身は、鼻へのヒアルロン酸注入を勧めてはいません。鼻やその周囲へのヒアルロン酸注入は、大きなリスクを伴う施術だからです。
当院では、鼻へのヒアルロン酸注入を希望する患者さんには、そのリスクも含めて十分にご説明します。それでもどうしても!と、希望される場合は、鼻へのヒアルロン酸注入を行うこともありますが、これは本当にリスクの高い施術なのです。

鼻へのヒアルロン酸注入の注意事項

では、鼻へのヒアルロン酸注入に関する、注意事項をあげてみます。
失明の危険がある
ヒアルロン酸注射は、鼻のつけ根に近い部分に注射針を刺します。この部分には、目の奥の眼球につながる「眼動脈」から枝分かれした、大切な血管が通っています。
どんなに手術がうまい医師でも、皮膚を見ただけでは、実際にどこに大切な血管が通っているかは分かりません。間違って刺してしまう可能性はゼロではないということです。
針を刺した後でも、大切な血管に刺しているかどうかは分かりませんので、そのままヒアルロン酸を注入してしまうことになります。ヒアルロン酸は元々、血液よりも粘性の高い物質でできていますので、血管に注入されたヒアルロン酸は、眼動脈の根本まで流れていき、血管を詰まらせます。すると、血液や酸素は眼球まで届かなくなり、失明してしまう可能性があるのです。
ヒアルロン酸注入により、鼻が壊死したり失明したりする事故は多数起こっています。過去にその一例として取り上げられていた医療事故に対し、ある週刊誌でコメントを残した形成外科医は、「針の刺し方が悪かった。自分ならこう刺すから事故は起きない」と公言していました。週刊誌にコメントを掲載することで、あたかも高い技術があるように見えますが、それは大きな誤解です。
その理由は、大きく二つあります。一つ目は、針が血管に入っていないことを確認する「逆血」が、ヒアルロン酸を満たした注射器と細い針では、確認ができない、ということです。ヒアルロン酸は粘度が高いこと、さらに痛みを減らすために細い針を使用することにより、血液の逆流を確認できないのです。
二つ目の理由は、血管の走行は人によって違いますし、その血管が目視できていない(自分の目で確認できない)ところに針を刺すわけですから、そもそも血管の走行が確認できず、「血管を避けて針を刺す」ことは非常に困難だということです。
つまり、「針の刺し方で事故は防げる」というものでは無いのです。

僕はこの失明や鼻の壊死のリスクを十分説明し、できる限り、他の手術を選択してもらうようにしています。リスクの説明をせず、安易に鼻へのヒアルロン酸注入を勧める医師には、安全な手術は難しいと考えるべきでしょう。
ヒアルロン酸注入の維持費
ヒアルロン酸注入は、安価で手軽にできるということから希望される患者さんは多いです。ヒアルロン酸は元々、体内に存在する成分であるため、安全性の高い製剤と言われています。
その一方で、親和性の高い物質で出来ているわけですから、時間が経つにつれて吸収されたり分散したりします。術後の副反応は引き起こしにくいのですが、持続効果は半年ほどです。美鼻を保つためには、最低でも年に1回の注入が必要になります。これが何年も続くことを考えると、結果的に大きな維持費がかかることになります。ましてや、毎回失明リスクを抱えながらの注入は、やはりお勧めできません。

プロテーゼ挿入、なぜそんなにトラブルが多いの?

vol.19プロテーゼ挿入によるトラブルで来院する患者さんが多いことをお伝えしました。
患者さんに合ったプロテーゼを形成し、適切に挿入すれば、術後のトラブルに悩まされることはほとんどないはずです。
プロテーゼによるトラブルが多いのは、残念ながらどこか間違った手術をしているからと考えられます。どのような原因からトラブルが起こるのでしょうか。

プロテーゼの挿入場所は骨膜の上ではなく「骨膜下」

プロテーゼの適切な挿入場所は、骨と骨膜の間にある「骨膜下」と呼ばれる部分です。ここに、正しい形状のプロテーゼがきちんと挿入できれば、術後もズレることなくしっかりと固定され、非常に長い時間、その効果は続きます。
しかし、プロテーゼを骨膜の上に挿入してしまうと、しっかりと固定されないため、プロテーゼが浮き出たり、触ると動いたりというトラブルが起こるのです。術後すぐにこうしたトラブルが発生していない場合でも、年齢を重ねると、皮膚の弾力や脂肪が減少するため、プロテーゼが浮き出て目立つようになります。
また、「石灰化するからプロテーゼは入れたくない」という意見を耳にしますが、石灰化自体は人体の正しい反応であり、石灰化の原因となるカルシウムももともと体内にありますので、驚くほどの問題ではありません。プロテーゼが正しく骨膜下に入っていれば、石灰化したとしても、皮膚を突き破ったり、凸凹が出たりいったことはありません。むしろ怖いのは、「骨膜下にプロテーゼが挿入されていない」ことで起こり得るトラブルなのです。


ではどうして骨膜下に挿入しないケースがあるのでしょうか。それは、骨の表面に張り付いている骨膜を剥がすことは、簡単ではないからです。
骨膜は厚さわずか0.2ミリほどの薄い膜ですが、血管と神経に富み、骨の再生や修復をする大切な膜です。実際には、骨と骨膜の間に器具を入れて剥がしていくわけですが、当然目で確認しながらできる部分ではありません。医師の技量が問われる重要な作業と言えますので、この場合は、挿入しないのではなく、技術的に挿入できないと言えるのではないでしょうか。骨膜下へのプロテーゼ挿入は、技術ある人ができる、難しい工程です。
従って、この例は「挿入しないのではなく、技術的に挿入できなかった」と考えられます。高い技術をもった医師でなければ、プロテーゼを骨膜下に挿入することは、難しい手技なのです。

プロテーゼの種類と形成工程に違いがある

ご存知のように、プロテーゼには、「L型」「I型」の2種類があります。クリニックによって使うプロテーゼは違いますが、当クリニックでは「I型」と呼ばれる直線状のプロテーゼを使用しています。


「L型」はその名の通り、L字の形をしており、鼻の付け根あたりから鼻先、鼻柱あたりまでをカバーするものです。鼻先がツンと尖ってかっこいいイメージを持ちますが、鼻先の皮膚に対して大きな負担がかかり、ぶつけると鼻筋がズレたり、皮膚を突き破って出てくるリスクがあります。そのため、最近ではL型プロテーゼを使用するクリニックは少なくなっています。


そして、プロテーゼは誰もが同じものを入れるわけではなく、皮膚の状態や骨のラインなどにより、美しく見せるプロテーゼの形は違います。既製品をそのまま入れるのはもってのほかで、医師が患者さんに合うように形成したものを挿入する必要があります。僕の場合は手術中に再度鼻を触診することで状態を明確にし、その場で手早く形成していきます。

「残念な鼻」になることもある

鼻整形をしたいと考えている患者さんの多くは、複数の美容外科クリニックのWebサイトを見て、情報を得たうえで来院されると思います。患者さんの中には、自分で術式を決めて、「私はこの手術を希望します」と強くおっしゃる方もいます。患者さんの要望通り手術を行う医師もいますが、僕はまず、患者さんが希望する術式が、本当に正しい術式なのか見極めます。その術式が不適切と思われた時は、そのリスクを説明し、他の術式を勧めます。
これまでも説明してきましたが、美しい鼻を手に入れるのには、いくつかの条件をクリアする必要があります。1つの術式で完璧に仕上げるというよりは、いくつかの術式を組み合わせていくことで自然で美しい形を作り出しているケースが多いと言えるでしょう。鼻手術には、複数の術式が必要な場合もあることも理解していただきたいと思います。

局所麻酔は術後の痛みを増幅させる

当クリニックでは、メスを使う鼻手術の場合は、点滴による「静脈麻酔」を行います。局所麻酔と違い、眠った状態になってもらう麻酔です。点滴針を刺す際、血管がうまく浮き出てこない患者さんには特に慎重に行わなければなりませんが、術中はもちろん、術後の痛みも意外と少ないと感じて頂ける麻酔です。
局所麻酔は手軽なイメージですが、術中の痛みが完全に抑えられるわけではなく、器具使用による音や振動も伝わります。患者さんの精神的な苦痛を考えると、やはりお勧めはしません。もちろん、患者さん自ら強く希望されたのであれば、局所麻酔で行うこともあります。

まとめ

鼻手術は繊細で、安易にできる手術ではないことを、ご理解頂けましたでしょうか。
鼻はトラブルが発生するリスクが大きく、その手術は医師の知識や技術とセンスに大きく左右されてしまうということです。
次回では、「医師選びのポイント」について説明していきます。病院選びの際の参考にしていただければと思います。
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