悪徳美容外科に騙されていませんか?
2019.3.16

sp悪徳美容外科に騙されていませんか?

近年、メディアにおいて美容外科の広告、宣伝が多くみられるようになり、一般的にも美容外科の存在が身近なものになってきているのではないでしょうか。
その一方で、実際に行われた施術によるトラブル、苦情や相談が増えているのも事実です。
今回は美容外科業界の実態と、それに「騙されないための心得」についてお伝えします。

知る人ぞ知る 美容外科の実態

最近では「美容外科」という言葉が広く一般にも浸透し、みなさんの間でも抵抗なく受診できる科になりつつあると思います。その理由の一つは、美容外科医を名乗る医師やクリニックが急増していることにあります。2003年~2008年頃から、美容外科に関するインターネット広告や宣伝が見られるようになった、ということもその理由の一つです。また、個人の「美に対する意識」が変わってきていることも、関係しているかもしれません。
さらに、インターネットを通じて多くの方の体験談や症例写真を見るようになり、「美容外科」を身近に感じる人も多いのではないでしょうか。
ここで、美容外科クリニックが掲載している症例写真ついて少し触れたいと思います。
僕は、美容外科クリニックが症例写真を載せることには賛成です。患者さん目線でみる症例写真は、施術後の具体的なイメージを抱くための一つの目安になります。また、同じ施術でも医師によって仕上がりには違いが出ますので、自分好みのクリニックや医師の選択にもつながります。
ただ、ここで気をつけたいのは、症例写真がいつ掲載されたものなのかということです。
症例写真を確認するとき、まずは掲載されている患者さんの髪型やメイクをチェックしてみましょう。今の時代とかけ離れているなと感じた場合は、相当前の写真を掲載している可能性があります。古い写真を掲載し続けるクリニックは、現在はあまり施術を行っていないか、成功症例が少ないと考えられますので要注意です。
一方、最新の症例写真が掲載されていれば、その美容外科クリニックは現役でその施術を行っていて、日々更新できる環境にあるというわけです。
僕は、毎日のように症例写真を掲載し続けています。これは毎日施術を行っている証拠でもあり、技術の証明にもなります。患者さんにとっても、医師選択の基準になるのではないでしょうか。
ただしこれも「正確な情報であれば」の話です。現代は写真の加工が簡単にできる技術がありますから、医師の技量を高く見せるために、「加工後」の写真が掲載されることもあります。
みなさんがこれを見抜くのはかなり難しいでしょう。それだけ精巧に作られたものもあります。

美容外科に関する集団訴訟の例

ところでみなさんは、過去に起きた「美容外科に関する集団訴訟」をご存知でしょうか。
これは、顔のたるみを取る手術を受けた20代から70代の男女70人余りが、施術を受けた後、事前の広告や説明にはなかった「強い痛み」や「顔の腫れ」が出たなどとして賠償を求めた、というものです。
実はこの訴訟、「ヒアルロン酸注入1万円」という主旨の広告で患者さんを多く呼び込み、半ば強引に別の手術を勧めたことが問題となりました。
しかし国はこの訴訟に対し「症例写真が問題である」と判断し、広告掲載にいてはビフォーアフターの写真の使用が不可になったり、薬などの名称の表記が不可になったりと、かなり広告掲載時のガイドラインが強化されました。

この規制により苦情が減るのでしたらよいのですが、消費者センターに寄せられる相談内容は、「無理やり契約させられた」とか「高額な施術を押し付けられた」とか「術後の経過に関すること」など、契約や保証に関することが大多数です。
国が症例写真の掲載を禁止した結果、患者さんは技術の良し悪しを決める方法がなくなり、何を基準に医師やクリニックを選べばよいのか分からなくなります。そこで生まれる新たな問題が、「長時間にわたる拘束」と「医師の言い値での契約」です。

ある医師の施術「リフトアップ」の話しと問題点

私はとある会合である医師から直接こんな話しをききました。ある患者さんをカウンセリングと称して5時間にわたり拘束し、「最新の糸リフトアップを行いましょう。本来ならば1,000万円かかる施術ですが、特別に800万円にします」と提示しローンを組みました。
そして契約上は6本リフト用の糸を入れるはずが、実際には4本しか入れなかったとの事。私にこの医師は自慢げに話しをしていたのを今でも忘れません。これは患者さんに対して嘘をついていることになります。つまり立派な詐欺。
僕はこの話しを聞いて強い怒りを感じ、この医師の資格を剥奪してほしいとすら考えました。きっとこの患者さんは多額のローンだけが残ったと思います。
このケースで一番悪いのはもちろん「悪徳医師」なのですが、なぜこのようなことが起きてしまったのでしょうか。問題点は大きく2つあります。

1つ目は、なぜ患者さんはこの金額で契約を交わしてしまったのかということです。糸の本数は6本入っていたとしても、800万円のローンは高額すぎます。多くの美容外科クリニックでは料金表に糸の本数による価格を表示していますから、事前に複数の美容外科クリニックから情報を得ていれば、金額を提示された時点で気付くはずです。
2つ目は、「糸による持続効果」を知らなかったことです。実際、リフトアップ用の糸による持続期間は長くても2~3年程度ですから、そのことを予め知っていれば、数年に渡る長期ローン契約なんてありえないのです。
つまり、1,000万円でも800万円でも有り得ない金額であり、糸の効果の持続年数よりも長い期間のローンも有り得ないのです。これは、悪徳な手口に患者さんが引っかかってしまったために起きた「悲劇」なのです。
僕は、患者さんには、冷静になって判断して頂きたいと思いますし、医師やクリニック選びも慎重に行って頂きたいと強く思います。

「インフルエンサー」の与える影響

国が広告における症例写真を規制した事から、あらたに別の手法が発達してきました。それが最近気になっているSNSにおける「インフルエンサー」という存在です。
インターネットに詳しい方ならご存知かと思いますが、SNSにはそれを読んだ(見た)人に非常に大きな影響を与える「インフルエンサー」と呼ばれる存在があります。
この人達のフォロアーは桁外れに多く、例えば、有名人アカウントのSNSで「こんなにキレイになりました!」と書かれれば、一般の人に非常に大きな影響を与えます。美容医療サービスにおける「インフルエンサー」になるのです。
前述の通り、画像加工アプリの発達により個人のSNSなどに掲載された写真は、加工している可能性が大きいのです。これは当然の事です。自分をキレイにみせ、アピールするのがSNSですから。企業の新商品紹介や美容化粧品を紹介することで企業からお金をもらういわゆる「プロインフルエンサー」を悪徳な美容外科クリニックは利用して個人インフルエンサーにお金を支払い見栄えのよい写真を掲載してもらう。そして国が現在規制の対象外としている「個人SNS」を見せ、「このようになりたいなら・・・・」と説明し高額な費用を請求するクリニックが出始めました。そしてこのプロインフルエンサーをうまく使って糸によるリフトを高額で売っているのが、集団訴訟の時のクリニックから独立した医師がやっているクリニックが多いようです。
これに対して国がやる事は症例写真の規制をゆるめて、逆にこのようなインフルエンサーを使った詐欺広告禁止すべきだと思います。誤解しないで頂きたいのは、「インフルエンサー」の存在がいけないということではなく、これを利用してぼったくりをしている、悪徳な美容外科クリニックを批判したいのです。

まとめ

美容外科という分野が一般の方にも広く浸透したとはいえ、やはり「悪徳な美容外科」は無くなりませんし、悲しいかな、それに騙されてしまう患者さんも後を絶ちません。国が広告規制をしたことで、美容外科の「広告」に対する競争は、違う方向へ流れはじめているのです。
口先だけで詐欺まがいのことをする悪徳医師と、真面目にコツコツと腕を磨き患者さんと真摯に向き合う医師、どちらの医師にあなたの「美」を任せるべきなのか。
医師の人となりを見極め、慎重に判断することをお勧めします。